14,600回の言葉

 20年前の11月8日は、抜けるような青空だった。マクドナルドで朝食をとり、式場へと向かった。お色直しのBGMは、佐野元春の「goodtimes and badtimes」を選んだ。結びのあいさつで、「これからの人生で良いことも悪いこともあるかも知れませんが、絶対にクミコを幸せにします。」と誓った。

 あすで結婚から20年を迎える。あの日の誓いを守れているだろうか。仕事でも家庭でもマイペースな夫に対し、クミコの「置き去りにされた感」は根強いらしく、ここにきて「この20年間は何も楽しくなかった」と断言される始末である。確かにケンカばかりの20年間だった。その一端は、この日記でも綴ってきた。1日に平均2回ケンカするとして、20年間で14,600回。ケンカの数だけ理由があった。ひと言で言えばいいトシをして未熟な2人なのである。

 だけど、ケンカの数以上に「ありがとう」も言ってきた。本当のところ、この20年間を振り返ると、クミコに対しては感謝の気持ちしかない。帰りがどんなに遅くても、夜中に突然、家を飛び出しても、何日もロクに帰宅しなくても、文句を言いながらもいつも最後のところでは理解してくれた。「働き方改革」などという言葉がなかった時代である。

 「結婚10年」の時は、腕時計を贈り合った。しかし「結婚20年」のことし、クミコはプレゼントなんて何もいらないと言っている。「下着とか買うから、ちょっとだけお金をもらえればいいから」と。でもそういう訳にはいかない。「20年間、一度も『サプライズ』がなかった」というこれまでの評価を果たして覆せるか。あすはちょっと頑張ります。

 

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