ハラスメントブームの時代に労働法を知らない課長がヤバすぎるセクハラ、パワハラ、マタハラ

以下記事転載

ハラスメントブームの時代に労働法を知らない課長がヤバすぎる理由課長は労働法をこう使え!ダイヤモンドオンライン

2016210

ハラスメントブームの時代に

労働法を知らない課長がヤバすぎる理由神内伸浩弁護士

バックナンバー一覧へセクハラ、パワハラ、マタハラ、ソーハラ、スモハラ、アルハラ。いま、労働環境はにわかにハラスメントブーム状態に。部下発、上司発、会社発とあらゆる労働問題に巻き込まれる課長にとって、おそらく過去最大レベルに労働法の知識が求められる時代が訪れています。インパクト大の事例とともに、実践的な法律の使い方をお伝えする連載第1弾。

文中の一部の事例は、事実をもとに改変を加えたものです

課長が訴えられて

損害賠償責任を負わされた話課長が労働法を理解していないと、どんなことが起きうるのでしょうか。

労働法の基礎知識をもたない課長が、自分の経験だけで判断し、労働問題の当事者になるケースは少なくありません。たとえばサントリーホールディングスほか事件東京地裁平成26年7月31日判決は、上司の部下に対する行動が不法行為と認められた事案です。

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上司が、一人の部下の勤務態度に不満をもちました。

指示された業務の納期を守らなかったことなどが、その理由です。

おまえは新入社員以下だ。もう任せられない

何でこんなことがわからないんだ。おまえは馬鹿だ

上司は部下に言い続けました。

これは明らかなパワハラです。

間もなく部下はメンタルヘルスの不調をきたします。

心療内科で重度のうつ病と診断され、休職するように言われました。

そこで翌日、診断書を添えて上司に3月の休職を願い出ました。

これに対して上司は、ちょっと考えられないような自分勝手な判断をします。

まず、心療内科の診断書を、自分の机にしまったまま放置しました。

もちろん本来であれば、人事部に提出しなければいけないものです。

そして部下にこう告げます。

3月の休養については、有給休暇で消化してくれないか

君は隣の部署に異動する予定だが、もし3月の休職をするなら、異動の話は白紙に戻さざるを得ない。つまり休職後も私の下で仕事を続けることになる

今日から4日以内に、どうするか判断してほしい

この部下は、悩んだ末に有給休暇を取得することを選びました。

そして、会社と上司を訴えました。

裁判所は、上司の暴言をパワハラと認定。

また、診断書の棚上げを不法行為に当たるとして、損害賠償を命じました。

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休職させるべきという医師の診断書が出ているにもかかわらず、自分の判断で棚上げするなど、どう考えても明らかに許されない行為です。

もし、この上司にわずかでも労働法の知識があれば、自ら身を滅ぼすようなことはしなかったはずです。部下に訴えられてしまった後では、労働法を知らなかったでは済まされないのです。

労働法の無知が

部下を殺す可能性がある課長に労働法の知識がないと、部下の命を危険な目にあわせることもあります。あるパン製造工場での話です。

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パート労働者が1月に139時間の残業をしました。

しかし、その残業代が未払いになっていました。

そのパート労働者は、1日8時間、週40時間という労働法の規定を知らず、上司から命じられるままに働いていたのです。

月139時間という残業時間は、過労死の基準を遥かに超えるレベルです。

結局、そのパート労働者は脳疾患で倒れてしまいました。

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部下の残業、見て見ぬフリしていませんか?

近年、過労死がたびたび問題となっています。そんな状況を打開するために厚生労働省は平成13年12月、労働基準局長名で脳血管疾患及び虚血性心疾患等負傷に起因するものを除く。の認定基準についてを通達しました。

そこには発症前1月間におおむね100時間又は発症前2月間ないし6月間にわたって、1月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できるとしています。これに基づき、過労死基準は月に残業100時間とされています。もし、このパート労働者が訴えを起こせば、課長が責任を追及される可能性は免れません。

このように、労働法の知識とは、勉強しておくとスキルアップがはかれるという類のものではありませんが、課長自身の立場や、部下の命を守る盾となる必須知識なのです。

神内伸浩かみうちのぶひろ

労働問題専門の弁護士使用者側。1994年慶応大学文学部史学科卒。コナミ株式会社およびサンマイクロシステムズ株式会社において、いずれも人事部に在籍。社会保険労務士試験、衛生管理者試験、ビジネスキャリア制度人事労務試験に相次いで一発合格。2004年司法試験合格。労働問題を得意とする高井岡芹法律事務所で経験を積んだ後、11年に独立、14年に神内法律事務所開設。民間企業人事部で約8年間勤務という希有な経歴を活かし、法律と現場経験を熟知したアドバイスに定評がある。従業員300人超の民間企業の社内弁護士非常勤としての顔も持っており、現場の課長の実態、最新の労働問題にも詳しい。

労政時報労務事情など人事労務の専門誌に数多くの寄稿があり、労働関係セミナーも多数手掛ける。共著に管理職トラブル対策の実務と法労働専門弁護士が教示する実践ノウハウ民事法研究会、65歳雇用時代の中高年齢層処遇の実務新版新労働法実務相談第2版ともに労務行政研究所がある。

神内法律事務所ホームページ

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問題部下を管理し、理不尽な上司から身を守る60の事例と対応法

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元サラリーマン人事部、現労働問題専門弁護士民間企業の社内弁護士、社会保険労務士試験合格という労働問題のプロが、現実的な打開策と予防法を伝授します。

序章労働者と管理職の間にある落とし穴

課長とは、法律に守られる存在か、それとも叩かれる存在か?など

第1章課長を苦しめる上司と会社の特徴

パワハラ上司セクハラ上司残業代を支払わない会社など

第2章職場環境を悪化させる部下の特徴

やる気がない部下協調性がない部下給料が高すぎる部下など

第3章課長が身を守るための労働法入門

古すぎる労働法と法律知識きほんのきなど

第4章誰も教えてくれないトラブル対応と法律知識

残業問題メンタルヘルス問題パワハラ問題など

第5章課長の責任が問われた6つの負け裁判

コミュニケーション力の低い課長はパワハラと相性が良いほか

終章自分が問題課長にならないために

自分がされたことをそのまま部下にするほか